【ITサービスマネージャ】まずは無勉からの現状確認 午後1 問1【SM】

2019年8月17日

IPA

さて、前回は自分の実力を図るテストとしてH30秋の午前2を解きました。私なりの回答とそれに至る考え方を記載しましたが、今回も午後1についても同様に記載したいと思います。

高度情報試験の午後1について

午前2に問題なく合格したとしても多くの人が躓くのが午後1です。午後1は大問3問から2問を選択して回答します。時間は90分ですので1問あたり45分使える計算です。ただ、基本的に文章量が多いため、いかに早くその内容や問われていることを理解して回答するかが重要になります。時間が足りない!となる人も多いのではないかと思います。

今回は勉強していない状態で、どの程度通用するのか、どのように読み解くかの参考にしていただければ幸いです。それではH30秋の午後1 問1について私なりの考え方を交えて記載していこうと思います。

【H30秋(SM)】ITサービスマネージャ試験 午後1 問1

問1の概要

F社では本社(関東地区)、支社(関西地区)、工場(関東地区)の3つの拠点が有り、IP-VPNで結ばれている。本社に置かれている財務会計システムと、支社に置かれている生産管理システムがあります。財務会計システムは本社・支社から、生産管理システムは工場からアクセスされます。それぞれのシステムは日中帯のオンライン処理と夜間帯のバッチ処理に分かれており、バッチ処理の中でデータのフルバックアップが磁気テープに取られます。また、オンライン処理の前後ではオンライン処理起動処理、オンライン処理停止処理があり、それぞれ30分かかります

今回のケースでは本社側の被災、システムが1週間程度利用できないケースを想定してBCPを検討しています。被災した本社側の財務管理システムが利用できなくなることから、その代替として支社側の生産管理システム上に財務管理システムをバックアップから復元して、どちらのサービスも完全に止めることなく運用するというのが今回のテーマの大枠です。

ちなみに私は社内ファイルサーバのバックアップ業務を担当していた経験が有り、近いことをやっていた時期が有ります。

設問1[サービス継続計画の検討]について、(1)〜(3)に答えよ。

(1)財務会計システムの運用上の問題点を、サービス継続の観点から40字以内で述べよ。

設問だけを見るとだいぶざっくりした問いですね。ただ、ここは[サービス継続計画の検討]の観点で回答を考えればよいです。内容を見ると、(3)で「・本社サーバ室から財務会計システムのフルバックアップデータを取り寄せて、データの復元と復元後の確認を行う」と有ります。そうです、フルバックアップデータから復元するにはデータが手元にないと復元できません。当たり前ですね。ではフルバックアップはどのような形で保管されているのでしょうか。これは「表2 運用スケジュール」の注釈に記載が有り、磁気テープにフルバックアップを取得して、各システムを設置しているサーバ室に保管していると有ります。表や図の中だけではなく、注釈にもヒントがある場合が多いので見落とさないようにしましょう。

さて、本社が被災してからバックアップを本社から取り寄せようとすると、運搬の問題が生じます。災害の程度にもよりますが、火災などで喪失してしまうような事態にでもなれば当初の目的を果たすことができません。ですので、下記のように回答すればよいかと思います。

解答:本社被災の影響で、フルバックアップテープを支社へ搬送できない場合がある問題。(38文字)

IPA解答:本社サーバ室が被災するとバックアップを含むデータを喪失する。

喪失するような事態については本文に記載がなかったので、私の解答のほうがより正しいのではと考えていますが、概ね問題ないと思います。

(2)(1)の問題点の解決策を、35文字以内で述べよ。

解決策についてですが、これを回避する方法を記載すればよいです。被災前に支社へ搬送することを記載すれば点をもらえるものと思います。また、バックアップは本社側でデータ復旧が必要となる場合もあるので、搬送するのはコピーである必要があると思われます。

解答:バッチ処理完了後、フルバックアップのコピーを支社へ搬送する。(31文字)

IPA解答:バックアップの磁気テープのコピーを関西地区のサーバ室にも保管する。

具体的なところが記載しきれていない部分があるのでもしかしたらここは減点があるかもしれません。ただ、趣旨としては問題ないかと思います。

(3)財務会計システムのオンライン処理の時間を最も長くする場合のオンライン処理の開始時刻と終了時刻を答えよ。ここで、生産管理システムのオンライン処理時間帯は、13:00〜16:00とする。また、財務部及び情報システム部の勤務時間並びに各シウテムの予備時間帯は考慮しなくても良いものとする。

ここは少し混乱しました。財務部の業務再開フェースにおける勤務時間は4時間とする。だったり、RLO25%だったり数字が多く考慮が必要なのかと考えてしまいました。ただ、実際はそうした数字は気にせず、財務会計システムと生産管理システムの時間だけ気にしていれば良いです。

まず生産管理システムの処理終了が16:00です。そこから30分システム停止処理が走ります。次に財務会計システムを起動をします。これも30分かかります。最短で財務会計システムのオンライン処理は17:00から可動することが分かります。

次に終了時間ですが、各システムのバッチ処理が翌日の生産管理システム立ち上げ前に終わっていないといけません。生産管理システムのオンライン処理開始は13:00ですが、起動処理があるため12:30に起動処理をする必要が有ります。次にバッチ処理ですが、それぞれのシステムで合計12時間係ることが表2から読み取れます。ですので、バッチの開始時刻は0:30からとなります。オンライン停止処理が30分あるため、財務会計システムのオンライン処理は12:00には終わっていないと行けません。ですので解答は下記の通りになります。

解答:
 開始時刻 17:00
 終了時刻 24:00

IPA解答:
 開始時刻 17:00
 終了時刻 (翌日)0:00 又は 24:00

ここは単純な計算問題だと分かれば何のこともないです。

設問2 [財務会計システムの運用の検討について(1),(2)に答えよ]

(1)本文中の下線(ア)という要望が実現した場合の、財務部の財務会計サービス利用者にとっての利点を、40文字以内で述べよ。

なぜ、財務部からこのような要望が出たかは、当初の予定で復旧を進めた場合から考えてみれば分かります。フルバックアップからデータを復元しますが、表3の通りBPOは前日の就業時点となります。これが例えば就業間際に被災した場合どうなるでしょう。[サービス継続計画の検討]の(1)の2つ目に、「日々必要な最低限度の業務として当日中に確認する財務会計業務があるので、生産管理業務が完了後、財務会計業務を実施する。」とあります。つまり、消えたデータの調査と再入力をした上で、そのデータを用いてしないといけない財務会計業務があるということです。始業から就業間際のデータをそこから調査・再入力する必要が出てくるのです。つまり、この部分をしなくても良いことが財務会計サービス利用者にとっての利点となります。

解答:前日就業時点から被災時までのデータの調査・再入力の手間が省ける利点。(35文字)

IPA解答:オンライン処理で入力した障害発生時点までの会計伝票の再入力が不要になる。

おそらく私の解答だと部分点になりそうです。「何の」というところが抜け落ちているため、意味は通じても減点となると思われます。1−(2)の問題もそうですが、ややその部分が漏れているのが反省です。

(2)財務会計システムのDB更新ログの運用上の問題点への対策について、財務会計システムのオンライン処理で変更する内容を、35文字以内で述べよ。

これも磁気テープと同様です。ただ、物理的なものの運搬ではなく更新ログですので、IP-VPN経由で生産管理システム上のDBにも同じデータをリアルタイムで記録すれば問題ないものと思います。

解答:会計DBの更新ログを、同時に生産管理システムのストレージへ記録する。(35文字)

IPA解答:DB更新ログを支社の生産管理サーバのストレージにも取得する。

文字数が結構きついですね。概ね内容としては問題ないと思います。ただ、「ストレージ」ではなく生産管理DBとした場合、DB自体は違うものなので減点対象になる可能性が有ります。

設問3 [訓練の実施]について、(1)、(2)に答えよ。

(1)本文中の下線(イ)で行う連絡表の内容の見直しについて、30字以内で述べよ。

連絡表の見直しに関しては本文の中からそれらしい記述が見られなかったので一般的な解答を考えました。通常、こうした連絡表については連絡が取れない場合も想定して正副、もしくは複数名を記載します。

解答:代表者に連絡が取れない場合を踏まえ副代表者の連絡先を入れる。(30文字)

IPA解答:複数の担当者の連絡先を登録するように変更する。

趣旨としては問題ないと思います。正副だけでもおそらく満点もらえるのではと思います。

(2)本文中の下線(ウ)について、図1中の装置を活用してできる対策を、40文字以内で述べよ。

これも支社側の同じような装置を選べば正解になると思います。したがって、支社側のファイルサーバを選びます。

解答:支社ファイルサーバに最新の連絡表を保管し、被災時でも閲覧できるようにする。

IPA解答:最新の連絡表の情報を支社ファイルサーバにも保管し、被災時でも参照可能にする。

ほぼ同じ内容でしたね。

問1の総括

IPAの講評にも有りましたが、設問1のバックアップデータの運用についてだけ気づきがないと解答は難しいところですが、全体的に同じ内容の繰り返し(本社のデータを支社へ)だったので、本当にこれ大丈夫な解答なのか?という疑心暗鬼になりながらも解答しました。結果としてはそれであっていたのですが、なんとも難易度の低い問題だったのではと思います。おそらく私の解答で80点から90点ぐらいはもらえるのではないかなと思います。

ただ、現時点で無勉でも行けるやん!と思うのは時期尚早。まあでも、運用で考えればその程度で、ネットワークやセキュリティみたいに複雑なことはそんなにないのかなと思いました。

ひとまず他の問2、問3についても同じように見ていきたいと思います。